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退屈なホンモノ、愉快なニセモノ

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≪2016総括シリーズ 特別篇≫

きょうは、本年度の総括「特別篇」として、「10傑シリーズ」ではなく「映画のワースト5」を展開したい。


ボジョレーを持ち上げるメディアが「今年は美味」といいつづけるのと同様、「今年は豊作」といいつづけて10年くらい経っている自分。
そのことばに嘘はないが、ある一定の割合で駄作が入ってくるのが常で。

といっても今年は、去年の『ギャラクシー街道』を凌駕するほどの出来が悪い作品は出現しなかった。

映画小僧としてはうれしいはずだが、なんというか不思議なもので、ちょっと物足りないな・・・なんて思ってしまう自分も居たりする。

思いっきり罵りたい・罵るべき作品が、ひとつやふたつあったほうがいい―極論だが、そういうことかもしれない。


さて駄作と失敗作はちがう。

あくまでも、自分のなかの定義づけだが。

前者は映画をなめている作品、
後者は「おおいなる野心」が「実を結ばなかった」作品のことをいう。

だから、ワーストの対象になるのは前者だけなのである。


かつて中野翠が、同じ日に巨匠の大作と新人のインディーズを観て、「退屈なホンモノ、愉快なニセモノ」と評したことがあった。

分かるな~! と思ったし、同時に、巧いな! さすがだな! と感心した。

批評って、褒めるときより貶すときに、そのひとのセンスや才能が出るものなのではないかな。

自分もそうありたいとは思っているが、まだ翠さんみたいな絶妙なフレーズは生み出せないや・・・。


(1)『信長協奏曲』

イマドキのことばを話す信長が、そんなに面白いのか。

付き合っていられない・・・はっきりとそう思った。

しかし礼儀として、館内が明るくなるまで座席に座っていましたよ。

えらいだろう、自分!!

(2)『嫌な女』

女優、黒木瞳の初監督作品。



ほんとうに映画を撮りたかったのかな・・・そう感じたのは、監督の熱量がスクリーンから1度だって伝わってこなかったから。

映画を撮れる環境にあるひとがこれでは、映画を真剣に学ぶ学生は浮かばれない。

(3)『ブラック・スキャンダル』…トップ画像

期待していただけに失望が大きかった、、、というケース。

話は面白いし自分の好きな題材なのだが、実際に起こった話をただなぞるだけなので、ジョニー・デップ久し振りの熱演も「ぜんぜん」報われなかった。

(4)『金メダル男』

芸人としての内村光良ウッチャンは好きだが、映画をやるときはダメ。
(映画を話すときのウッチャンは、割と好き)

褒めてるひとが意外と多くて、ちょいと取り残された気分になった。




(5)『テラフォーマーズ』

最初から期待していなかったので、怒りの感情は生まれなかった。

「あぁ金と才能の無駄遣い…」と呆れながら、スクリーンをぼんやり眺めていただけである。

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『シネマしりとり「薀蓄篇」(189)』

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